空港などでは、デング熱やジカ熱を警戒するポスターが貼られていることがあります。
特に、東南アジアでは年中暑い気候のため、蚊が発生しやすいので、蚊によって媒介される病気(マラリアやデング熱、ジカ熱など)にかかりやすくなります。
自覚症状として、例えば、高熱や関節痛などが出るようであれば、注意が必要です。
全ての蚊が病原体を持っているわけではありませんが、自分でできる対策は、虫よけをして、なるべく蚊に刺されないようにすることです。
長袖、長ズボンの服を着ることや、DEET成分の入った虫よけを塗ること、あるいはこまめに塗り直すことが予防につながります。
今回は、蚊によって媒介される病気について書きたいと思います。
(内容は、国立感染症研究所や厚生省ホームページの内容に基づいています。詳しくは、これらのページをご覧ください。また、症状が疑われるときにはできるだけ早めに医療機関を受診するようにしてください。)
ジカ熱

カルテ
最近空港で見かけたポスターは、ジカ熱でした。
ジカウイルス(フラビノウイルス属)に感染することにより引き起こされる感染症です。
感染経路は、ジカウイルスを保有している蚊(ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカなど)に刺されたり、感染している人の血液や体液から感染したり、妊娠期間中に胎盤を介して胎児に感染することもあります。
【症状】
3〜12日程の潜伏期間ののちに症状が現れますが、症状が現れない不顕性感染も多い(80%ほど)ともいわれています。
典型的な症状は、37ー38℃程度の発熱、かゆみを伴う発疹(顔や体幹、手や足の裏など)、手足の関節痛、結膜炎などです。
注意が必要なのが、胎盤感染によって発症する先天性小頭症です。妊娠初期の早い時期の感染ほど、発症する可能性が高いと言われています。
発症すると、白内障などの眼球異常、聴力障害、筋力低下、けいれん、姿勢の異常などが現れる可能性があります。
症状は、デング熱に比べると比較的軽く、症状が出ない不顕性感染の人も多いですが、妊娠中に感染することで、赤ちゃんが小頭症になる可能性が上がるので、予防対策をしっかりしておく必要があるでしょう。
※ 参照記事
デング熱

病院
英語風に発音すると、デンギと聞こえます。
デングウイルスは、ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介されます。
4つの血清型が存在します。一つの型にかかったあと、その型には免疫ができますが、他の血清型には感染することがあります。そして、二度目の感染時に、重症化する確率が高くなるといわれています。
デングウイルスに感染した場合でも、かなりの割合で不顕性感染に終わることがあると考えられています。
【症状】
★ デング熱(DF)
デング熱という一過性熱性疾患の症状があります。
感染して3〜7日後、突然の発熱で始まり、頭痛(とくに眼窩痛)・筋肉痛・関節痛を伴うことが多く、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともあります。発熱はニ峰性パターンが多いようです。
発症後、3〜4日後から胸部・体幹から始まる発疹が出て、四肢・顔面へ広がります。
症状は1週間程度で終わり、通常は後遺症はでないと言われています。
★ デング出血熱(DHF)
デングウイルス感染後、デング熱とほぼ同じように発症して経過したあと、一部の患者は突然、血漿漏出と出血傾向を主症状とするデング出血熱となります。この重篤な症状は、発熱が終わって、平熱に戻りかけたときに起こるという特徴があるようです。
★ 予防
蚊に刺されないようにすることが、一番の予防になります。
※ 参照サイト
マラリア

薬
マラリア原虫をもった蚊(ハマダラ属)に刺されることで感染します。熱帯・亜熱帯地域で流行しています。
マラリアには、5種類(熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア、サルマラリア)あります。
【症状】
1週間〜4週間の潜伏期間をおいて、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。
マラリアの予防薬はあるようですが、予防薬を内服していても感染することがあります。マラリアを疑う症状が出たときには、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
※ 参照サイト
空港でのサーモ検査
空港では、サーモスタットによる高熱症状がないかの検査があります
入国する際に通る通路には、温度を計るセンサーがついたカメラとスタッフが配備されていて、体温が高いと、呼び止められます。
通常の体温であれば、とくに並んだり質問されることなく通過できます。
このセンサーを通る時には、帽子を脱いでおきましょう。もしかぶったままにしていると、係りの人から「帽子を外してね」というゼスチャーをされます。
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蚊よけ対策で予防する
熱帯特有の感染症を予防する方法は、蚊よけをすることです。
DEET成分が入っている蚊よけスプレーがおすすめです。
室内では、蚊取り線香や蚊帳などのが効果的です。バンガローやロッジのようなところに宿泊する際には、室内に蚊が入ってこないようにしたいですね。
また、服装は、肌が隠れる長袖や長ズボンで、蚊に刺されにくくなります。とくに、自然の中に入っていく予定の日や、夕方の時間帯は蚊が出てきやすいので、服装に気をつけるといいですよ。
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旅行中に調子が悪くなったら
いつもと違う高熱や、体調が悪くなったら、現地の病院で診てもらいましょう。
クレジットカードに付帯している旅行保険などが使えて、キャッシュレスで診療してもらえる場合があります。
(関連:海外旅行にクレジットカードを持っていくのがおすすめな理由)
まずは、カード会社に知らせ、提携している現地の病院を教えてもらうか、近くの病院で診てもらいたい旨を伝えてから、病院で受け付けしてもらいましょう。
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まとめ
以前は、熱帯の病気というと、マラリアが思い浮かびましたが、最近ではデング熱やジカ熱にかかる可能性もあります。
いずれにしても、高熱や筋肉痛、関節痛などの症状が出ます。
帰国後であっても、高熱が出る場合には、これらの病気の可能性がありますから、医療機関にかかる際には、東南アジア地域に旅行したなどの渡航歴があることを覚えておきましょう。
また、ジカ熱では、症状が軽かったり、現れない不顕性感染になることもあり、体調はあまりキツくなくても、妊婦さんの場合には、胎児に感染する可能性があるので、予防も大切です。
蚊よけをしっかりして、できるだけ蚊によって媒介される感染症にかからないように予防していきたいですね。
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